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直らん性格

 やけに潔癖なところがあって、若者がよくやる、ジュースやビール等の回し飲みは、ようしない。人の食べさしは子供の食べ残しも、口にしなかった。
台所に立っていても、料理が出来上がるまでに、ごみ箱に触れれば手を洗い、髪の毛を触っても手を洗い、鼻をかんでも手を洗う。しょっちゅう手を洗っているので、タオルがすぐぼとぼとになってしまう。ここだけを見る人には、なんと奇麗づきで、神経質な人かしらと思うでしょうが、かなりいい加減で大雑把な人間でもある。

 本屋に立ち寄り、部屋の片づけ方とか、押入れの上手な使い方、部屋の
リフォームの本を見つけると、つい買ってしまう癖がある。これは常に願望として、憧れに似たような思いがそうさせるのだろうと思っている。

 それ等の本を読むと、いつも部屋が整理整頓出来た様な気分になる。
しかし、例え本が示す様に出来たとしても、一時の事ですぐに散らかってしまう。常に使ったものは元通りに置く習慣をつけ、こまめに実行しないと写真に載っている様な具合いには行かない。

 ずぼらで整理整頓が苦手な私だが、得意とする事もある。畳一畳以上もある、大きなデスクの上は、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような状態ではあるが、いくつもの仕事を、三つ四つ同時進行で進めてしまえる事。
そこは、私の遊園地でもあり、お城でもある。 突然私の部屋に入ってきた人は、まず驚きを隠すのに、苦労するでしょうね。机の上は、どこから手をつけて良いか、わからない有様になっているのですから。でも私には、実に使い勝手の良い、短時間に色んな事を処理できる状態になっているのです。 整理整頓が出来る人は、物を潔く捨てられる人だと、私は常々思っている。簡単に物を捨てられない性格の私は、色んな物がすぐたまってしまう。

 主人とは全く正反対の性格に気がついたのは、結婚して何十年も経ってからの事だったと思う。一つの事をきちきちとやり終え、それから次の事に取り掛かる様子を見ていると、なんと贅沢な時間の使い方をしているのだろうと、思ってしまう。例えば大量の郵便物に切手を張るとき等、切手を一枚一枚切って行く。
私はと言えば、ミシン目を重ねてしっかり狂いがないか確かめて、十枚位一度に切ってしまう。一事が万事である。大雑把なやり方だとなじられれば、なんと効率の悪い時間の使い方をしているのと、やり返す。50年も良く来たものだと思う。お互い辛抱強い性格だから、来られたのかなあと長い道のりを振り返るこの頃だ。小言を言える間が幸せなのだろうなと思える様にもなって来た。お互に、その性格を直そうとしないままで。

-fin-

2009.6.14

【課題】 私の人生観

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